一般質問「デジタルファーストの推進」について

一般質問(2021年6月11日)湯淺啓史

令和3年度6月議会の一般質問で、デジタルファーストの推進について、その目的や将来像、またそこへ至る道筋などについて、市の考えを聞きました。

一般質問を行う 湯淺啓史(2021年6月11日)

質問と回答の概要

湯淺啓史議員一般質問(令和3年度6月)

デジタルファーストは大きな社会変容への対応

デジタルファーストの推進は、市長施政方針に市政運営のポイントとして掲げられている
デジタルファーストの推進は、大きな社会変容への対応
単にICT技術を部分的に取り入れるということと似ているが、本質が異なるもの

具体的な市の姿や取り組みの手順は?

「出雲市デジタルファースト推進宣言」令和3年(2021)3月が策定されたが、この計画では、計画最終年の令和8年(2026)3月末までの具体的な市の姿や取組の手順が示されていない。
今後これらを補って計画に組み入れる考えはあるのか。

  • (総務部長)
    行政手続のオンライン化、SNSを活用した情報発信の充実など、市民の皆様が実感しやすい市民サービスのデジタルファーストに取り組む

    情報格差の解消やデジタルを活用する能力の向上を図る
  • キャッシュレスやテレワークが日常的となり、市役所の様々な手続もオンラインで完結するようなデジタル社会の形成を図る
  • DXアドバイザー等からの助言も踏まえながら、具体的な手順を示すロードマップを今年度中に作成する

合意形成をどのようにはかっていくのか

理解、認識に市職員の皆さんはもとより、住民の間で差異があっては進む方向が定まらない。
将来像として掲げる「デジタルとご縁で創るスマートシティ出雲」に対する合意形成を今後どのように図るのか。

  • (総務部長)
    デジタルファーストは、社会構造の大きな変化を伴うもので、市民や民間事業者の皆様のご理解が不可欠
  • きめ細やかなセミナーの開催、デジタル技術に触れてもらう場を通しデジタルは簡単で身近なものだと感じていただけるよう努める、併せて市職員の意識改革にも努める必要
  • デジタル技術を積極的に施策に反映させることで、市民の皆様がその恩恵を享受できるようなサービスを提供
  • 官民連携組織を構築し、お互いの強みを生かしながら、地域の課題解決と価値創造の促進を目指す

外部人材(デジタルアドバイザー)の役割

この度登用される予定の外部人材は、どのような役割を果たされるのか、CIOやCIO補佐官などの立場となるのか。

  • (総務部長)
    今後ロードマップ策定、官民との連携等の基盤ずくりなどで、専門的な人材の方の知識や、様々な関係の方とのつながりを生かして計画の推進に役立てたい
  • CIOという形で設置をしようと今は計画はしていません。外部から専門アドバイザーを招いた上で、今後の体制についても考えていきたい

DXの推進は地産地消で

デジタル技術応用はぜひ地産地消でお願いをしたい。
地元でできることはぜひ地元で、地元の企業を育てるという観点も必要。

  • (総務部長)
    実際デジタル化を進めていく上で、地域社会、地域の経済、そういったところに大きな影響が及んでいく内容
  • 当然地元の企業、団体等と一緒に連携しながらやっていくことは大切なこと
  • そういった観点で進め、地域全体でのデジタル化というものを達成したい

DXの目標は変化への対応、そして、新たな価値の創造

今やっていることをデジタルで置き替えることだけを目的しがちだが、DXの大きな目標は社会の変化への対応、そして、問題をいかに解決していくか、その上で新たな価値を創っていくこと。
新たな価値を創造するというような部分について、市長の思いを聴かせていただきたい。

  • (市長)
    行政課題を出して、それをまたこの地域のIT企業をはじめとする民間の方々と連携を図りながら解決し進めていく、そこにまた新しい価値が私は生まれるものだと考えているところ

 

 

 

議事録より 「デジタルファーストの推進」について の質問

質問

デジタルファーストの推進についてという質問に移ります。

こちらの項目も今議会に示された市長施政方針に市政運営のポイントとして掲げられています。先ほどの脱炭素社会の実現と同様デジタルファーストの推進は、大きな社会変容への対応です。単にICT技術を部分的に取り入れるということとは似ていますが、本質が異なるものと考えております。その観点からの質問となります。よろしくお願いをいたします。

昨年度末、令和3年(2021)3月に出雲市デジタルファースト推進宣言が策定されましたが、この計画では、計画最終年の令和8年(2026)3月末までの具体的な市の姿や取組の手順が示されていません。今後これらを補って計画に組み入れられる考えはあるのか、お伺いをしたいと思います。

そして、出雲市デジタルファースト推進計画で定められた将来像について、お伺いします。
推進計画の中では将来像として、「デジタルとご縁で創るスマートシティ出雲」という言葉が掲げられています。さらに、「暮らしが変わる、産業・観光が変わる、市役所が変わる」との記述も見出しとして掲げられいます。これらは、まさに社会変容を起こしていくという宣言であると、私は受け止めます。

しかし、先ほどの脱炭素社会についてのことと同様に、理解、認識に市職員の皆さんはもとより、住民の間で差異があっては進む方向が定まりません。将来像として掲げられているデジタルとご縁で創るスマートシティ出雲に対する合意形成を今後どのように図るのかお答えください。よろしくお願いします。

回答(総務部長)

まず、出雲市デジタルファースト推進計画が策定されたが、具体的な市の姿や取組の手順が示されていない。今後、これらを計画に組み入れる考えはあるのかについて、お答えいたします。

本年3月に策定した「出雲市デジタルファースト推進計画」では、市民サービス、まちづくり、産業・観光の各分野でのデジタル技術の活用や人材育成などの施策を進めることとしています。
その中でも、まずは、行政手続のオンライン化、SNSを活用した情報発信の充実など、市民の皆様が実感しやすい市民サービスのデジタルファーストに取り組んでいき、あわせて、情報格差の解消やデジタルを活用する能力の向上などを図りたいと考えています。

将来の本市の姿については、推進計画において「デジタルとご縁で創るスマートシティ出雲」を将来像として、先ほど議員からもご紹介ありました「暮らしが変わる、産業・観光が変わる、市役所が変わる」といったイメージを掲げ、キャッシュレスやテレワークが日常的となり、市役所の様々な手続もオンラインで完結するようなデジタル社会の形成を図ることとしています。

今後、国の動向や登用を予定しているDXアドバイザー等からの助言も踏まえながら、具体的な手順を示すロードマップを今年度中に作成し、この将来像の実現を目指していく考えです。

なお、国は、昨年12月に策定した自治体DX推進計画の中で、令和5年(2023)3月末を目指して、子育てや介護などの行政手続について、マイナンバーカードを用いてオンライン手続を可能にするとしています。
また、現在、各自治体がそれぞれ独自の仕様で運用している住民記録や地方税などの行政システムを、令和8年(2026)3月末までに、国が定める標準仕様のシステムに移行することとしています。このような国の動きについてもロードマップの中に取り入れてまいりたいと思っています。

次に、将来像である「デジタルとご縁で創るスマートシティ出雲」に対する合意形成を今後どのように図るのかについてです。

デジタルファーストは、社会構造の大きな変化を伴うものでございます。市民や民間事業者の皆様のご理解が不可欠であると考えております。そのためには、きめ細やかなセミナーの開催ですとか、デジタル技術に触れてもらう場などを通じて、デジタルは簡単で身近なものだと感じていただけるよう努めてまいりたいと考えています。
あわせて、市職員の意識改革にも努める必要があり、デジタル技術を積極的に施策に反映させることで、市民の皆様がその恩恵を享受できるようなサービスを提供していきたいと考えています。
また、行政と民間が共通の目標を持って取組を進めるため、官民連携組織を構築し、お互いの強みを生かしながら、地域の課題解決と価値創造の促進を目指すことで、デジタルファーストに対する意識の底上げを図ります。

再質問

令和2年(2020)の第5回の定例会の一般質問で質問し、専門知識を有する管理者の設置は検討されないかとお聞きしました。その時点では、「特定任期付職員の採用は現在のところ考えてないが、デジタル推進にあたっては、全体をコーディネートする人材は必要な場合もあるので、今後アドバイスをしていただくというようなことも検討する」という趣旨のご回答を頂いており、このたび外部人材を登用されるということです。

総務省が令和2年(2020)12月に取りまとめました自治体デジタルトランスフォーメーション推進計画では、自治体におけるデジタルトランスフォーメーションの推進体制の構築といたしまして、首長、市長さんあるいは最高情報統括責任者を置くとか、その補佐をする補佐官を置くとか、具体的にはCIOと言うそうですけど、CIOやCIO補佐官などを置くことを推奨し、その役割などが例示をされています。
今回の外部人材はこれにあてはまるのか、どのような役割を果たされるのかお伺いします。

回答(総務部長)

総務省でつくった、いわゆるDXの関係のところでも、専門的な見地から行政を補佐するような外部人材は必要ではないかという述べられています。
本市もそういった考え方に沿いって、今回DXアドバイザーという形で外部から専門の人材を登用をしようと計画をしています。

今後ロードマップをつくりましたり、官民との連携等の基盤をつくっていく中で、専門的な人材の方の知識や、様々な関係の方とのつながり、などを生かして計画の推進に役立てたいと考えています。

再質問

ということは、今後このCIOやCIO補佐官、そういうような体制に移っていかれるという考えでよろしいでしょうか。

回答(総務部長)

CIOという形で設置をしようと今は計画はしていません。外部から専門アドバイザーを招いた上で、今後の体制についても考えていきたいと思っています。

国が言うCIOは、総体的には副市長を想定をして、それに対する補佐官が外部の専門人材というのがイメージですので、今は外部からのアドバイザーを設けて、その上で推進体制等についても必要であれば整備していきたいとの考えです。

再質問

デジタル(DX)のお話をすると、やはり使える人と使えない人というような話がどうしても出てくると思うんですけれども、少し意外な調査もあって、通信利用状況報告というのが毎年出ているんですけども、インターネット利用者の割合はほぼ9割に迫るところまで増加をしていると、全人口でですね。
そしてまた、6歳から12歳、60歳以上の年齢層でインターネット利用者が伸びたという報告がされています。
これ意外だなあと思うんですけれども、実は、知らないとこでインターネットを使っているということなんですね。自分でパソコンの画面に向かってインターネット画面を開くということはなかなか高齢者の方はされないんですけども、例えば携帯電話に付随している何かのサービスがインターネットを介しているかも分からないし、そういった意味合いで、いろいろな家電にもインターネットが今現在つながっていたり、ゲーム機につながっていたりもするんで、そういったことも含めていくと、約9割ぐらいの方が利用しているという統計になるようです。

このように、いつか分からないんだけれども、自分はデジタルというところを上手に利用しているという状況が一番望まれるところです。いきなりパソコンの前に入らないと、何かサービスが受けられませんというんじゃなくて、何かテレビにスイッチを入れて、チャンネルを操作するような感覚でこのデジタルというものが生活の中に入ってくるということが大事だと思いますので、ぜひそのような観点で進めていただきたいと思います。

そして、もう一つ質問ですけれども、このデジタル技術応用ということになりますと、とかくやはり進んでいるのはちょっと中央のほうとか、大きな企業になります。ですけれども、これもぜひ地産地消でお願いをしたいと思います。
地元でできることはぜひ地元で、地元の企業を育てるという観点も必要です。ぜひデジタルの応用ということに関しても、たくさんそれを扱っていらっしゃる企業が出雲にもあります。大小問わずあります。ぜひそういったところを活用していただきたいと思っておりますが、この点については市としてはどのようにお考えでしょうか。

回答(総務部長)

地元にたくさんの企業、それから団体等あると思っております。今後、実際デジタル化を進めていく上で、地域社会、地域の経済、そういったところに大きな影響が及んでいく内容ですので、当然地元の企業さん、これはいろんな団体等がございますから、そういったところと一緒に連携しながらやっていくことは大切なことだと思っています。
先ほどの官民連携についても、そういった観点でぜひ進めて、地域全体でのデジタル化というものを達成したいと考えています。

再質問

もう一つ、すみません。
市長は、施政方針におきまして、「デジタル技術の活用は急速に変化する環境に対応し、様々な問題の解決を図ると同時に、新たな価値を創造するための手法として期待されています」と述べられています。まさにそのとおりだ思っており、目的は変化への対応、それから問題解決、そして、新たな価値の創造だと思っています。

とかくデジタル技術を今やっていることをデジタルで置き替えてということだけが何か目的になってしまいそうですけれども、目的はまさに変化への対応、今現在起こっている社会の変化への対応、それから、問題をいかに解決していくか、どう効率的に解決していくかということ。そして、その上で新たな価値を創っていくというのが、このDXの大きな目標だと思っています。

ぜひ市長さん、その新たな価値を創造するというような部分について、市長の思いがあれば、お答えいただきたい。よろしくお願いいたします。

回答(市長)

私もこのたび様々な企業の方々、IT関係の方々ともいろんな意見交換等々をさせていただく中で、たくさん優良な企業があるなと感じたところでございますし、これからの行政課題を行政だけではなくて、そのような皆さん方と一緒になって解決していくことは必要だなと痛感したところでます。

行政課題を出して、それをまたこの地域のIT企業をはじめとする民間の方々と連携を図りながら解決し進めていく、そこにまた新しい価値が私は生まれるものだと考えているところです。

最後に

最後にですけれども、少し釘を刺したいというところがございます。とかくこういったことは国が大いに進めていることですので、いろいろな補助金も付きまして、その補助金を使いながら進めていくというのが、これは当たり前のことだと思うんですけれども、順序が逆といいますか、補助金が出るから取り組みますとか、そういったことではなく、こういったことをやりたいんだけども、探したら補助金があったという、ぜひそういう取組にしていただきたいということ。

それから、ガバメントクラウド、電子政府というようなことも前段に上がっておりますので、とかくそこへ話が集中しがちになるんじゃないかなということも予想されまして、いつの間かこの価値の創造ということが何か一生懸命デジタル化に対応しているということの問題にすり替わってしまうということでは意味がない。そういったことがないよう、ぜひ市長さんはじめ市職員の皆様、幹部の皆様、炯眼をもって進められるようお願いをしたい分野でございます。よろしくお願いをいたします。

 

 

質問事前通告

質問項目:「脱炭素社会の実現」について

今議会に示された市長施政方針には、市政運営のポイントとして「デジタル ファーストの推進」が掲げられました
ア) 「出雲市デジタルファースト推進計画」が策定されたが、計画最終年の 令和8年3月末での具体的な市の姿や取り組みの手順が示されていな い。今後これらを補って計画に組み入れる考えはあるか
イ) 将来像である「 “デジタル”と“ご縁” で創るスマートシティ出雲」に対す る合意形成を今後どのように図るのか

参考:市長施政方針(令和3年6月議会)

デジタルファーストの推進

最後に、「デジタルファーストの推進」についてです。 コロナ禍は、期せずして我が国のデジタル化の遅れを顕在化させ、また一方で、その推進を強く後押しする形となりました。 デジタル技術の活用は、急速に変化する環境に対応し、さまざまな課題の解決を図ると同時に、新たな価値を創造するための手法として期待されています。 本市では、「出雲市デジタルファースト推進計画」に基づき、市民サービスの向上や産業 振興を図り、誰もがデジタル技術を簡単に利用できる環境づくりに努め、持続可能な都 市づくりを進めてまいります。

また、高度な知見を有する外部専門人材をD Xディーエックス(デジタルトランスフォ ーメーション)アドバイザーとして登用し、本市のデジタルファーストを強力に推進してまいります。

一方、通信事業者等では、既に5 Gファイブジー(第5世代移動通信システム)に続く 次世代通信サービス6 Gシックスジーの研究開発が進められています。さまざまな可能性を秘めている、こうした新たな技術にも着目し、その活用を展望してまいります。