湯浅啓史 一般質問 2020年3月29日「デジタルファーストを実現する体制を問う」全文(議事録より)

湯淺啓史

デジタルファーストを実現する体制をということについて、お尋ねします。

今議会に示されました施政方針演説の中で「デジタルファースト宣言」を行うとの考えが示されました。施政方針に対する会派代表質問の中では、市民サービスの向上、行政運営の改善ほか多分野でデジタル技術を活用すると説明もされたところです。また、その推進には市長が先頭に立ち実施本部を設置して推進するという説明もあったところです。

そこで、特定任期付職員の任用も含め、専門知識を有する管理者の設置は検討されないのか伺います。よろしくお願いします。

 

小瀧総務部長

それではただいまの湯淺議員さんからのご質問でデジタルファーストを実現する体制をということについてお答えします。

先ほど議員さんがお触れになりましたが、今回デジタルファースト宣言を行うこととしたのは、国の提唱しますソサエティ5.0時代に呼応するためであり、本市として3つの分野において、さまざまな施策に取り組むことでこれを実現したいと考えています。

1つ目は、市民サービスにおける分野です。

昨年5月に公布されました「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律」、これはいわゆるデジタル手続法と言い、これでは国の行政手続が原則インターネットでできるようにするとともに、地方自治体にも同様の努力義務を課すとされたところです。

この法律は、自治体における手続やサービスはデジタルを原則とする「デジタルファースト」、それから、一度提出した情報は再提出が不要となる「ワンスオンリー」、それから、複数の手続を1か所で完結する「コネクテッド・ワンストップ」の3つの原則が柱となっているものであり、これらの実現により住民の手続に関する負担の軽減を目的とするものです。

これに加えてSNS及びAIアプリの活用などにより、住民が手軽に素早く情報を得ることができるような情報提供の仕組みを確立することも重要です。

2つ目は、行政運営における分野です。

AI・RPAなど先進技術の活用により事務効率を向上させることで、新たな行政課題や多様化する市民ニーズの対応と職員の働く時間をシフトさせ、市民サービスの向上を図ることが必要となります。

3つ目は、まちづくりにおける分野です。

スマート農業、観光分野でのデジタルマーケティングなど、AI・ICT等の先端技術を活用し、産業・観光の振興を図ったり、福祉の分野での活用など、必要となるものと思われます。

また、今後さらに深刻化していく高齢化及び人口減少の進展など、社会問題が顕在化する状況を乗り切り、本市がソサエティ5.0時代のスマートシティとして飛躍するためには、あらゆる分野でのデジタル技術の積極的な活用が不可欠であると考えています。

そこで、まずは、新年度早々に市長が本部長となるデジタルファースト推進本部を立ち上げ、専門的知識を持った情報政策課の職員が中心となり、全ての課に配置するデジタルファーストを担当する推進員とともに、先進自治体の取組み状況や情報通信事業者からの提案を参考にしながら、さまざまな取組みを推進する考えです。

なお、議員がおっしゃいますように、特定任期付職員の採用は、現在のところ考えておりませんが、デジタル化を推進するにあたっては、全体としてはそういったコーディネートをする人材というのは必要になると考えています。

そこで、現在検討しておりますのが、大手企業で実際にデジタル化、あるいはそれに対する知識経験を持っていらっしゃる方に、アドバイスをいただくということも検討をしていきたいと考えています。

以上、答弁とさせていただきます。

 

湯淺啓史君

デジタル技術を活用するという方針、デジタルファースト宣言をされるということには、私は本当に大いに賛成をし、ぜひその方向で進んでいただきたいと思っています。

ただ、先ほども申しあげましたように、少し心配な面もあって、あえて質問をさせていただいておりまして、というのが、市職員の皆さんはデジタル技術のプロではないということです。行政のプロではありますけれども、これだけ日進月歩で動きの速いもののプロではない。これはお認めになったうえで、そこに進んでいかないと、なかなか難しい話だろうと思っております。

先ほど申しあげましたように、私がサンタクララ市へ行った際に、サンフランシスコ市が近いものですから、サンフランシスコ市へも視察に行かせていただきました。サンフランシスコ市では、データSF(Data SF)という取組みが積極的にされており、これは非常に世界的に有名な取組みです。市あるいは行政の持っているデータをオープン化して、それを市はもちろんですけれども、民間も活用することによって、先ほど言われたような市民生活の向上や行政サービスの向上させようとする取組みです。似たようなお話でしたので、ちょうど参考になると思っていました。

そのデータSFのマネジャーでありますジェイソン・ライリーさんと実際にお会いしてディスカッションをしてまいりました。驚くべきことにといいますか、あれだけ大きな市なんです、サンフランシスコ市というのは非常に大きな市なんですけども、このデータSFチーム、部局は何人で回していらっしゃいますかという質問をしたら、3人であるというお話でした。よくよく聞いてみますと、そうやってお話を聞いた方がデータサービスマネジャーと言われる方、そしてもう一人、それを補佐する形でデータアナリスト、分析官、解析戦略家と訳すんでしょうか、アナリストの方。そしてデータサイエンティスト、科学者ですね、この3名でそのデータSFチームを構成をしているとおっしゃっていました。

要は、このために雇われた方々です。丸々専門家でいらっしゃいます。ただしということでつけ加えて説明がありましたのは、市の各部門には、データコーディネーターという方を設置をしているんだと。これは職員の方々。それこそ行政のプロの方々に各部門のデータコーディネートはお任せしているんだと。そのうえで我々がそのデータをいかに活用していくのか、あるいはオープンにしているのかということを取り組んでいるというお話と説明、そして実例を聞かせていただいて帰ったところです。

先ほど特定任期付職員の任用も含め検討されませんかとお聞きしましたのは、要は専門家を雇いませんかというお話です。そちらのほうが理にかなっているんじゃないでしょうか。先ほど申しあげたように、甚だ失礼ですけれども、デジタル技術のプロではない職員の皆様がそれをやろうという意気込みは大変すばらしいと思いますが、なかなか難しい話であって、例えるなら、法律の問題が大変なので弁護士を雇われるのと同じ考えをされたほうがいいんじゃないですかということです。

今は考えないとおっしゃいましたので、ただし、コーディネートをする立場の人は必要であると考えている。また、アドバイザーは必要だというふうにも考えていらっしゃる。

もう一つ、方法として、研究機関や大学と連携協定等々を結んで進めるという手もあるんですけれども、そういったことはお考えになっていらっしゃいませんでしょうか。

 

小瀧総務部長

研究機関とか大学とかの連携ということでございますが、今のところそういったことは検討はしておりませんけれども、今後、必要になれば島根大学とかとは連携をしていくようなことも検討していかないといけないと思っています。

これからどういうスピードでそれを進めていくかということにも関連すると思いますけれども、できるだけ早くいろんなことを構築してやっていくにあたっては、先ほど申しあげたアドバイザーの方とか、それから専門的な大学とか、そういったところ、それから企業にもなると思いますけども、そういったところとの連携というのは必要になってくるものと思っています。

 

湯淺啓史君

こういう連携ということに関しては、もちろん地元も大事ですし、地元と連携をするということは必要だと思いますから、外しては考えられないと思いますけれども、必ずもこの時代ですから、地元の大学とやらなくてもいいということは考えられると思います。

そしてまた、研究機関というのはこの地元にはないわけですから、ぜひ中央に近いようなところの研究機関と連携をなさる、あるいはそういった提携を結ばれる、そういったことは十分考慮されないといけないと思います。日本全国の各自治体では、もうそういう取組みを実際にしていらっしゃって、そういったところと盛んに連携協定を結ぶ、あるいは大学もちょっと中央のところと連携協定を結んでいろいろな取組みを実証的にやっていらっしゃるということもありますので、さまざまな事例を参考にされて、その点いきなりそういった話にはなかなかいきづらいとは十分私も分かっておりますけれども、できるだけ早いうちに専門家の方々がまずはリードしていただいて、このデジタル化を動かしている出雲市という姿になっていただきたいものだなと思っています。よろしくお願いします。