出雲市議会 平成27年度第4回議会(12月議会)では、一般質問が、平成27年(2015)12月3日(木)・4日(金)・7日(月)の3日間行われ、湯浅啓史12月4日(金)に質問を行いました。

  • 公共施設等の社会インフラの再配置と今後の整備見通しについて

この日の一般質問回答を含む議事録全文(PDFファイル)はこちらをご参照ください。

湯浅啓史の一般質問20151204

質問項目

  1. 今後の都市構造の方向を示す次の項目について、市の考え方をお示しください
     ●「スプロール化」
     ●「コンパクトシティ」
     ●「小さな拠点」
  2. 道路や橋梁についての維持管理費、補修・架替え等の費用についての検討はされているのか
  3. 複合施設、多機能施設、官民の協働という方向に対応する体制をどうとるのか
  4. 廃止・統合の方針が示された施設や遊休地については、民間からの提案を募集してはどうか
  5. 統合の方針が示された、出雲体育館と平田体育館についてどのような検討がされているか

質問事項:「公共施設等の社会インフラの再配置と今後の整備見通しについて」

今回はテーマを一つに絞り、「公共施設等の社会インフラの再配置と今後の整備見通し」について質問いたします。
前半は、「その前提となる考え方について」を、後半は、「具体的な状況や進め方について」を質問します。 どうぞよろしくお願いします。

地方創生という事で、大変注目を集めました、『出雲市まち・ひと・しごと創生総合戦略』(人口ビジョンおよび総合戦略)は、6月議会に「骨子案」が、9月議会に「素案」が示され、多くの意見を集約しながら、10月26日の公表に至りました。
策定途中での6月議会に於いて、私は、「人口ビジョン」が指し示す将来のまちのあり方について質問いたしました。
今回も、関連する事柄となりますが、より具体的に、より前向きに質問をしてみたいと考えています。

出雲版総合戦略については、6月の骨子案から追加された部分として、「人口減少がもたらす問題」という項目があります。 第1章「人口ビジョン」の2の2「人口減少がもたらす問題」(25ページから26ページの部分)ですが、この部分で
(1)財政への影響
(2)道路、上下水道、公共施設等の維持管理費等への影響
(3)地域経済、地域コミュニティへの影響
が、考察されています。
今ここで、詳しく引用しませんが、 「今後急速に進展する、人口、財政状況とも右肩下りという変化に対応しなくてはならない」 ということが述べられているのだと理解しています。

そこで、 今後の都市構造の方向を示すといわれる次の項目について、市の考え方をお示しください

  1. 「スプロール化」
  2. 「コンパクトシティ」
  3. 「小さな拠点」

少子高齢化が更に進展し、人口減少を少しでも食い止める努力がされるとしても減少は避けがたいと予想される中、市街地が無秩序に拡散していく事(スプロール化)は、都市を維持するコストの増大を招き、持続可能な都市運営ができないと考えらえています。
私は、出雲市に於いても少なからずスプロール化が起きていると考えていますが、市としてはどのように把握されているのか、また、「スプロール化」という言葉そのものをどう整理しているのか、併せて示しください。

また、今後の望ましい都市構造の方向として「集約型都市構造」への転換が「コンパクトシティ」という言葉で説明される事が多々あります。 コンパクトシティという言葉や考え方は決して新しいものではなく、1970年代頃からヨーロッパの主要都市が抱える、環境問題に対する議論に端を発しているものと理解しています。
最近は、国土交通省や経済産業省の各資料に数多く登場するようになり、今後のまちのあり方の方向性を示すもとして多用されています。
いずれも昨年改訂された法律で、 「都市再生特別措置法等(H26年8月改訂)」や 「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(H26年11月改訂)」では、 持続可能な集約型都市構造として「多極ネットワーク型コンパクトシティの実現」がうたわれています。
また、昨年公表された「国土のグランドデザイン2050(平成26年7月国土交通省)」においては、基本的な考え方として「コンパクト+ネットワーク」という方向が示され、各種機能を一定のエリアに集約化(コンパクト化)することが不可欠とうたわれています。
さらに、最近は「小さな拠点」という考え方も示されています。
「コンパクトシティ」や「小さな拠点」といった考え方、方向性について、市ではどのように整理しているのか、端的にお答えください。

以上、方向性や考え方についての質問です。
続いて、具体的なお尋ねをします。

現在の出雲市の行財政改革の起点となったとも言える、「出雲市財政計画(平成24 年12 月)」さらに続く「今後の公共施設のあり方について(平成24 年9月)」、いずれも平成24年に示されたものですが、市が保有する約800の公共施設について、「現在の施設をそのまま存続することは極めて困難」だと結論づけています。
「現在のまま存続させる事は困難」なのは、いわゆる箱物ばかりでなく、道路や橋梁などの維持管理費も同様だと、私は、考えています。
そこで、公共施設の他、社会インフラ整備について、市の考えをお示しください。

その1つは
道路や橋梁についての維持管理費、補修・架替え等の費用についての検討はされているのか
という問いです。
公共施設の大規模改修や立て替えについては「平成39年度からの5年間においてピークを迎え、その額は約480億円、1年あたり約100億円」を要するという試算がされていますが、道路や橋梁、トンネル等についての維持管理費、補修・架替え等の費用は把握されているのでしょうか。

続いては
複合施設、多機能施設、官民の協働という方向に対応する体制をどうとるのか
という問いです。
今後の公共施設は複合化・多機能化が重要となり、更に公と民間が協働する方向も大切であるはずです。PFI等の手法を含め、民間活力の導入が必要となる方向に進むものと思われます。 しかし、それを推進して行くには多くの困難が予想されます。 なぜならば、複合化・多機能化に進むということは、行政組織の多くの部局がからむであろうし、官民が協働するにはそれなりの体制が必要と思われます。 どのように進むことになるのか、市としての考えをお聞かせください。

続いては
廃止・統合の方針が示された施設や遊休地については、民間からの提案を募集してはどうか
という提案です。
具体的な例としては、統合の方針が示された出雲体育館や平田体育館です。これらが統合され別の場所に体育館が建設されるのであれば、その跡地をどう活用するのか?
もう一つ具体的な例をあげますと、現在、公用車駐車場として利用されている旧市庁舎跡地は遊休地と言って差し支えないと思いますが、この土地をどう活用するのか?
行政とは異なる視点から、異なる発想からの提案が必要と思われます。 民間からの提案を募集される考えはないのかお聞かせください。

最後に
統合の方針が示された、出雲体育館と平田体育館についてどのような検討がされているか
という問いです。
方針として、出雲体育館と平田体育館は統合し、新たに一つ体育館を建てるということが示されましたが、現在は具体的な検討の過程さえ見えない状況です。 これについては、検討過程の透明性を高め、誰もが納得する方法で決定しなければならないと考えています。 現在どのような検討がされているのでしょうか?

以上、お答えいただきますようお願いします。

以下、回答と再質問は抜粋です。
この日の一般質問回答を含む議事録全文(PDFファイル)はこちらをご参照ください。

市長答弁

【スプロール化】

スプロール化は市街地が無秩序に拡散していく現象を指す。この現象は道路や下水道などの社会資本の整備費、維持管理費の増大を招き、さらに少子高齢化や人口減少が進行する状況下において、都市の運営に大きな支障を招くおそれがあり、避けなければならない問題であると認識をしている。

このため、本市の都市計画マスタープランで、土地利用の課題に無秩序な市街化の抑制を掲げている。 今後、市街地内では、必要な都市施設の整備に努め、都市計画用途地域の外側では、農業振興地域整備計画に基づいて、保存すべき農地との土地利用調整を図るとともに、都市計画法による開発行為制度を適切に運用することによって、スプロール化の防止に努めたい。

【コンパクトシティ】

一般的には、コンパクトシティといえば、都市の中心部に行政、商業、住宅など、さまざまな都市機能を集中させた形態、またはその計画を指し、効率的で維持可能な持続可能な都市づくりの政策とされている。

従来、コンパクトシティについては、最も主要な拠点に一極集中させるというイメージが強かったようだが、近年では分散している市街地を、それぞれの拠点として生かしながら、相互に結びつけていくという、いわゆる多極ネットワーク型のコンパクトシティという考え方が打ち出されている。

出雲市においても、出雲未来図、あるいは都市計画マスタープランの中で、将来都市構造を示し、中核都市拠点、東部都市拠点、産業都市拠点、観光都市拠点を核とする都市構造として、それぞれ各拠点に都市機能を集積させていく計画としている。したがって、この4拠点を中心に、必要な都市機能を集中させ、効率的な都市づくりを進めていく考え。

本市においては、一極集中型ではなくて、多極ネットワーク型のコンパクトシティとして都市像を考える。

【小さな拠点】

人口減少や高齢化により、過疎化が進む中山間地域等の集落では、日常生活に必要な商店やガソリンスタンド、また診療所等々、徐々に失われ、地域生活や経済が成立しなくなるおそれがある。このような問題への対策として、基幹となる集落に買い物や医療・介護、福祉などの機能を集約化し、さらに周辺に隣接する集落とのネットワークを持たせた「小さな拠点」をつくることが上げられる。そしてこの拠点が生活サービスを維持するとともに、中山間地等の地域内交流や支え合いの場となり、また地域の活性化にもつながっていくと考える。

本年10月に策定した「出雲市版まち・ひと・しごと創生総合戦略」の中でも、「中山間地域等における小さな拠点の形成」を位置づけている。

【公共施設、社会インフラ整備についての考え方】

道路や橋梁についての維持管理費、補修、かけ替え等の費用

市道は、昨年の道路法施行規則の改正を受け、全ての橋梁、トンネル等の重要な道路構造物について、5年に1回の定期点検による健全度の判定を行うことが義務化された。昨年度から計画的に調査・点検を実施しているところ。 その結果に基づいて、現在、県が開発中の維持管理システムを活用して、全ての橋梁やトンネルについての補修計画を策定し、年度別の経費を算出することにしている。

複合施設、多機能施設、官民の協働という方向に対応した体制

今後の施設整備にあたっては、施設建設や管理運営を効率的に行うため、施設の複合化、官民の協働など、さまざまな手法を検討していく必要がある。 その際には、それぞれの施設の要素を十分に把握し、無駄のない施設として整備していくことが肝要。そのためには、関係する部署間での調整を行えるよう連携した取り組みを行うことになるが、現状では、新たな組織を設置するということではなく、それぞれの部署間での相互連携がとれる体制を組みながら整備にあたっていく。

廃止・統合の方針が示された施設や遊休地についての民間からの提案の募集

施設廃止後の利活用の取り組みは、周辺を含めた再開発が望ましい場所もある。そういった場所は、民間からの提案も含め、さまざまなアイデアを出しながら検討したい。

今後の施設整備にあたってのPFI方式の採用は、経費節減、あるいはサービス向上の観点から、有効な手法の一つであると考える。ただ、PFI方式の導入には相当な準備期間が必要で、ある程度の事業規模でなければ、導入のメリットが少ないとされている。費用対効果を勘案しながら検討していく必要がある。

統合の方針が示された出雲体育館と平田体育館についての今後の考え方

老朽化が進行し、早期の建て替えが必要とされる出雲体育館及び平田体育館については、平成24年(2012)11月に、出雲市スポーツ振興審議会から「出雲市スポーツ振興ビジョン~今後のスポーツ施設整備のあり方について」の中で、「統合による大規模体育館の建設が望ましい」という答申を受け取った。一方、平成27年(2015)3月、「出雲市公共施設のあり方指針」では、廃止、または使用停止の対象施設として、この二つの体育館を上げた。

こういう中、市としての新体育館建設の基本的な方針案を取りまとめるために、庁内の関係各部署が集まり、協議・検討を始めたところ。 また、庁内の検討と並行して、出雲市スポーツ振興審議会においても、体育館の整備のあり方についてご意見をいただくこととしている。

再質問1

スプロール化については、無秩序であるか、そうでないかは別にし、ある程度の拡散は起こっていると肌で感じる。この拡散が将来的に市の財政を圧迫し、市の運営を危うくするというところが一番心配。

先ほど、出雲市は四つの核を設けそこへの集積を進めながら、また小さな拠点を各地に作り、それをネットワーク化して今後のまちづくりに対応していくとの回答を得た。 コンパクトシティは、過度な一極集中ではないということを肝に銘じなければならないが、ある程度の集積・集中は必要だと考える。ある面、コンパクトシティの肝は集積。

  • 高密度な人、物、情報の交流は、新たな価値創造のきっかけ
  • 集積を高め、それをネットワーク化していくことにより、質の高いサービスの提供と新たな価値の創造を生む
  • 圏域外からの稼ぐ力を向上させる
  • 集積による相乗効果や企業活動の活性化等で税収をアップさせる
  • 地域包括ケア等、今後取り組まなければならない課題に関しても、ある程度の集積は必要。

この集積について、出雲市内でのことも当然必要だが、山陰地方では中海宍道湖大山圏域で、ある程度の人口集積を図る方向は間違いないと思う。この圏域の連携について話し合う場は、中海・宍道湖・大山圏域市長会をおいてほかにないと思うが、実際、この市長会で圏域内での機能分担の話や、機能の再配置などが議題に上っているか、あるいは、そもそもそういった話し合いができるのか

市長答弁

市長会の中では、この圏域が、それぞれが独自に全てのものを整備していくという方向ではなく、圏域全体として少し大きなものを、それぞれ拠点的に整備して、役割分担というのをしっかりととっていこうと、それを、多極的なネットワークを意識しながら、今後の圏域全体のまちづくりのことも同時に考えるという話し合いはしている。

再質問2

であるならば、出雲市としては、どういった役割を担っていくのかということが、明確になる必要があるのではないか。ぜひ、十分に議論を進めて欲しい。

公共施設の取り組みについて、PFIは大きな候補の一つ、有効な手段との回答を得た。今後、公と民間が連携しておこなう公共サービスの提供は、ますます拡大していく。

その手法の中の一つの、指定管理者制度はもう既に出雲市でも導入をされた。そのほかには、PFI、市場化テスト、公設民営方式、包括的民間委託、自治体業務のアウトソーシング、さらには民設公営など、あらゆる手法を検討する必要があり、そして単に一つの施設だけではなく、周辺も考慮に入れた検討が必須。そのうえで、どのケースでどのような手法が有効なのかということを判断する流れが今後ますます重要。

旧市庁舎跡から出雲体育館の国道9号線の横軸、この間には、市役所、NTTビル、パラオ跡、今市小学校、サン・アビリティーズいずも、北部庁舎などなど含まれており、これは面で捉えないといけない横軸だと考える。
さらに、中央病院からJR出雲市駅、医大という縦軸、この縦軸、横軸と縦軸をしっかりとエリアとして捉え、そこに何を配置するのかを考える必要がある。

そのようなとき、民間の土地や建物までの活用を含める発想が必要。PFIや場合によっては民設公営などの手法を採用し、行政とは異なる視点からの発想が必要。 今後、公共施設のことを進めていくときに、実務は今の組織の中でいえば、どこの部局になるのか

市長答弁

恐らく、それぞれ具体の事柄ごとに主となる部局は変わってくる。

再質問3

続いては、体育館の件。
地下部分は、既に閉鎖をされ、雨漏りもひどく建て替えが必要な時期になっている。耐震化どころか補修もしないというのであれば、ここ数年での新規着手が必要ではないか。
審議会にも諮問して検討していくということだが、いつごろ答えが出るのか。

 市民文化部長答弁

スポーツ振興審議会は、今年度末、3月にはスポーツ分野としての考え方の取りまとめをお願いする。また、庁内検討会は既に検討を始めている。今の体育館は、防災倉庫の機能、選挙機材、ボランティアセンターの機能、展示会にも使用、子どもの健診の関係等、幅広く利用が求められている。
市の各部署とスポーツの専門分野との意見をまとめて、新年度には最終的にどの大きさの規模がいいのかとか、どの位置がいいのか、両方の意見を持ち寄り検討する。

再質問4

今年度中ということで、時間がないと思う。
今回の体育館建設は、今後のまちのあり方にかかわる非常に重要な事案。右肩下がりという予測の中で出された「統合」という結論に沿って建てられる初めての案件十分な話し合いが必要であり、「コンパクトシティ」や「まちの集約化」、「複合施設」、「多機能施設」、また「民と官との協働」、等、今後の方針が盛り込まれるべき事案。だからこそ検討過程の透明性も含めて、誰もが納得できる方法で決定しなければならないと考える。

私なりに体育館の建設の検討項目ということを上げるなら次のようになる。

  • 市内で最低でも便利にできる場所にある必要がある、距離的中心は考慮する必要が出てくる
  • 公共交通機関との連動、アクセスは必須
  • 単機能ではなく多くの機能を持った公共施設であることが望まれる
  • PFI等の手法を取り入れるべく、検討が必要
  • 周辺の公共施設との連動を十分に考慮にいれる
  • 民間との相乗効果も必要、宿泊施設や飲食店との相乗効果など、周辺の経済が回っていく事も十分に考えた施設であるべき
  • できるなら固定資産税、法人税に結びつく方向で進めていく
  • 持続可能な都市運営に資するものでなければならない

先ほど、この短時間の中で、年度末には方針を出すとのことだが、十分な議論は可能か

市民文化部長答弁

スポーツ振興審議会では今年度末にまとめるが、それはスポーツ面の視点から審議会で意見をいただくということ。
既に検討を始めている庁内検討会は、その意見を考慮しつつ、来年度に本格的な検討に入っていく。

再質問5

平成28年度(2016)に本格的な検討に入るとの事。いずれにしろ急ぐ話。
繰り返すようだが、検討過程を透明にして欲しい。これは、決して我田引水の話ではない。様々な将来課題を考慮したうえで検討して欲しいと言っている。

再三言うが、出雲体育館と平田体育館の統合は、単に一つの公共施設を建設するということにとどまらない。今後の出雲市のまちの姿、そしてその方向性を示す最初の事例になる今後の右肩下がりという状況に、どう対応していくかということが鍵になると考える。

右肩下がりという厳しい予測の中で、持続可能な都市運営を進めなければならないというのは、皆さんも頭の中では十分ご承知だと思いが、ひょっとしたら右肩上がりのときのやり方をそのまま踏襲をなさってはいませんかと、改めて問い直して欲しい。

決して寂しい話をしているつもりはない。今後に対応する新しいやり方、新しい考え方を、ぜひ皆さんの力で構築し、今後の出雲市に生かして欲しいと申しあげたい。