出雲市の地域経済循環図

RESAS 地域経済分析システムをのぞいて見ると、2010年、2013年、2015年のデータを見ることができます。
その内、地域経済循環図はしっかりと見ていく必要がある重要なデータであると考えています。
2013年と2015年の出雲市のデータを比較してみると、地域経済循環率が2013年で87.5%であったものが、2015年で86.3%に下がっているのがわかります。
地域経済循環率は、値が低いほど他地域から流入する所得への依存度が高いという事ですから、地域経済の疲弊度が高まっていると考える事ができます。

また、地域経済循環図データで、支出のうち「民間消費額の地域外への流出」が、2013年は40億円だったのに対し、2015年は243億円と増大しています。

肌感覚としてもっていた、「地域で経済が回っていない」「多くの消費が域外へ出てしまっている」という事が実際にデータとして裏付けられているのです。

RESAS 地域経済分析システムのデータは経済センサスのデータなどを参考としているため、2015年が最新データとなっていますが、地域経済の疲弊は2015年よりも更に進んでいると考えた方が良さそうです。

  • 「地域経済循環率」とは、生産(付加価値額)を分配(所得)で除した値であり、地域経済の自立度を示している。(値が低いほど他地域から流入する所得に対する依存度が高い。)
  • 「雇用者所得」とは、主に労働者が労働の対価として得る賃金や給料等をいう。
  • 「その他所得」は、財産所得、企業所得、交付税、社会保障給付、補助金等、雇用者所得以外の所得により構成される。
  • 「その他支出」は、「政府支出」+「地域内産業の移輸出-移輸入」により構成される。
    例えば、移輸入が移輸出を大きく上回り、その差が政府支出額を上回る場合(域外からの財・サービスの購入を通じた所得流出額が政府支出額よりも大きい場合)は、「その他支出」の金額がマイナスとなる。
  • 「支出流出入率」とは、地域内に支出された金額に対する地域外から流入・地域外に流出した金額の割合で、プラスの値は地域外からの流入、マイナスの値は地域外への流出を示す。

RESAS 地域経済分析システムの地域経済循環図解説より

 

内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局が自治体職員向け行った「RESAS地域経済循環マップ・地域産業連関表 研究会」で使用された資料が公開されており【資料:地域経済循環分析についてPDF】、この中で、次の指摘がなされています。

  1. これまでの構造では改善しない地方経済
  2. 原因は地域(地方)の所得循環構造が機能していないこと
  3. 地域再生のための地域の所得循環構造の構築が必要

全く同感です。
「まちの発展」や「地域の発展」などの言葉を使うとき、それが指し示すのものは「昭和のビジネスモデル」と言っても差し支えないと考えています。それも、高度経済成長を続けていた頃の感覚である場合が多いのも事実です。
平成の30年間が終わり、令和と元号が代わっても、未だに右肩上がりの人口と経済を前提とした”発展”が幻想としてあり、それをベースに政策が論じられます。

「持続可能な社会」という意味合いで「サスティナブル」という言葉が近年のキーワードですが、この言葉を使ってさえも、なお、減少する人口と縮小する経済をしっかりと受け止めた施策が打ち出せないのです。

現状を見失わずに打破していくには、昭和を知らない30歳台、40歳台の若いリーダーの出現が必要ではないかと切実に思うところです。

 

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